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屋上で農作物を育てて商品化!?野村ゼミのユニークなPBL
2026.10.10
「大学の屋上でブドウを育て、文京区産のワインを作りたい!」。そんな夢あふれるPBLが現在進行形で行われています。このプロジェクトに取り組んでいるのは、現代経営学部の現代消費研究ゼミ(野村拓也准教授)。今年3月には30本ほどのブドウの木が到着し、本格的な栽培がスタートしました。同ゼミのこれまでの歩みから、気になる今後の展開まで、詳しく見ていきましょう!
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屋上菜園の始まりは2024年
現代経営学部の野村ゼミでは、ミニマリズムやスローライフ、オーガニック志向などをキーワードに、現代の消費者のライフスタイルについて研究しています。そうした研究の一環として2024年にスタートしたのが、大学の屋上で農作物を育てて商品化するというユニークなPBL。実は1号館の屋上は、100周年を機にSDGsやサステナビリティに配慮してリニューアルされた場所であり、アーバンアグリカルチャー(都市農業)の拠点にぴったりだったのです。

リニューアルされた当時の1号館屋上(2024年)
野村ゼミが最初に取り組んだのは、もともと屋上で育っていたローズマリーを使った新商品の開発。当時のゼミ生たちは、ローズマリー風味のフライドポテトや、ローズマリーの香りを活かした手作り石鹸&キャンドルの開発を行い、1号館1階のTOGAKU SHOWCASEで在学生に販売しました。TOGAKU SHOWCASEとは、実践を大切にした課題解決型学習“TOGAKU PBL”のお披露目の場として設けられたスペースです。

TOGAKU SHOWCASEでのイベントの様子(2024年)
TOGAKU SHOWCASEでのイベントは大盛況となり、同ゼミでは2025年度も引き続き屋上のローズマリーを使った商品開発を深化していくことに。ゼミ生たちはローズマリーの剪定や雑草刈り、収穫などを自らの手で行い、改めて原料への理解を深めていきました。

屋上のローズマリーの手入れをするゼミ生たち
そして、収穫したローズマリーを活用したワンランク上の商品開発にも挑戦。水蒸気蒸留法という専門技術を用い、香り豊かな精油(エッセンシャルオイル)を抽出することに成功、その精油を使ってオリジナル商品を制作することになりました。

専門の機材を使って精油の抽出に挑戦
商品開発にあたって大切にしたのは、“販売できるクオリティ”であること。試行錯誤を繰り返し、納得のいく品質の製品を完成させてから販売にもチャレンジしました。
販売の初舞台は、大学の地元・文京区で開催された「文京博覧会2025」。文京区内の中小企業や産業団体が展示・実演・物販などを行う毎年恒例のイベントです。ゼミ生たちは自身で企画・制作したローズマリー製品を出品し、地域の方々と交流しながら販売。ゼミの活動を紹介するポスター展示も行いました。

「文京博覧会2025」にブースを出店
イベントで販売したのは、アロマサシェとアロマキャンドル。「香りがよい」と好評を博し、売り切れになるほど人気を集めました。

ゼミ生が企画・制作したローズマリーのアロマキャンドル
イベント後、野村拓也准教授は以下のようにコメントしています。
「学外で商品を販売するにあたっては、1つ1つ丁寧に真心を込め、クオリティの高いものを作るよう指導しました。マーケティングやブランディングも大切ですが、それ以前のところにきちんと取り組んだうえで競争的な部分に着目してほしいなと。学生たちを見ていて、一生懸命作っているうちに商品に対する自信が湧いてくる様子が感じられました。それがお客様にも伝わり、結果的に完売することができてよかったです」
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都市型ワイナリーへの挑戦
屋上のローズマリーを商品化して販売し、手応えを得たゼミ生たちは、「都心の屋上でブドウを栽培し、いつかオリジナルワインを作りたい」という大きなビジョンを掲げるようになります。そして、都市型ワイナリーの実現を見据え、屋上プロジェクトを「IL NIDO DELLA FENICE(イル・ニード・デッラ・フェニーチェ)」と名付けてブランド化。ブランド名はイタリア語で「鳳凰の巣」を意味し、大学のシンボルであるフェニックス(鳳凰)にちなんでいます。独自のロゴマークを考案し、屋上にサインも設置しました。

屋上に設置されたブランドのサイン
今年3月には、念願だったブドウの栽培を開始することに。
宮城県のワイナリー「Fattoria AL FIORE」から6種30本ほどの醸造用ブドウを譲り受け、1号館の屋上と4・5号館のテラスに設置しました。今後、都心の暑さや屋上の強い風に耐えられるかなどを見極め、都市環境に適した品種や栽培条件を検証していきます。

栽培当初のブドウの木(2026年4月撮影)
独自ブランド「IL NIDO DELLA FENICE」の取り組みが本格化する中、ゼミ生たちはPR活動にも着手。1号館1階のTOGAKU SHOWCASEでPRイベントを行うことになりました。当日は会場に看板を設置し、ブランドを紹介する動画やポスターの展示も。在学生や教職員にアピールしました。

TOGAKU SHOWCASEで行われたブランドPRイベントの様子
また、会場では「文京博覧会2025」で人気を博したローズマリーのアロマサシェやアロマキャンドルを数量限定で販売。さらに、都市型ワイナリーの研究にちなんで、ブドウの葉を使ったお茶や、ブドウジュースの試飲ができるブースも設置しました。ゼミ生たちは来場者にドリンクを勧めながら、ブランドのことや用意したドリンクについて丁寧に解説していました。

本来廃棄されるブドウの葉を再利用したお茶も用意
イベントを終え、ゼミ生の秦礼旺さんは以下のようにコメントしました。
「今回のイベントを通じて、ブドウやローズマリーの可能性をいろんな人に知ってもらえたらうれしいです。また、今後はIL NIDO DELLA FENICEというブランドを通じて、東洋学園大学の知名度を上げていきたいです!」
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外部と連携してホップ栽培もスタート
屋上に設置されたブドウの木は順調に成長を続け、夏頃には葉っぱもたくさん茂り始めました。ただ、収穫までの道のりは長く、実をつけるのは約3年後。都市型ワイナリーのプロジェクトは、先輩から後輩へと代替わりしながら受け継いでいく予定です。

1号館の屋上ですくすくと成長中のブドウの木(2026年7月撮影)
ブドウの成長を待つ間、ゼミ生たちは新たなプロジェクトをスタートさせました。それが、ビールの原料となるホップの栽培。1年で実るホップを同時並行で育てることで、地域循環型の都市農業を早期に本格化させる狙いがあります。

ホップの実はビールの原料となることで有名(2026年7月撮影)
ホップ栽培を始めるにあたっては、外部とも連携。台東区・文京区周辺のビルの屋上や壁面など空きスペースを活用してホップを栽培し、地元のマイクロブルワリーでクラフトビールを醸造・販売する地域循環型のプロジェクト「しのばずホッププロジェクト」と共同で取り組むことに。同プロジェクトは、東京大学大学院都市デザイン研究室(永野真義協力研究員)が主導し、地域住民や近隣飲食店、社会福祉協議会などが参画しています。

ホップの植え付け作業の様子(2026年5月撮影)
今年5月には、その「しのばずホッププロジェクト」の方々が来学し、ゼミ生とともに土づくりからホップの植え付けまでを実施。台東区産のコンポストたい肥を土に混ぜ込み、6個のコンテナに分け入れた後、カスケード種のホップを植え付けました。野村拓也准教授は、「都心のキャンパスという立地を活かし、地域の方々と共に循環型社会の実現に貢献できることは、学生たちにとって貴重な学びの機会です」と語ります。
野村ゼミが「しのばずホッププロジェクト」と連携、屋上でホップの植え付けを実施

屋上の壁面で成長中のホップ(2026年7月撮影)
現在、1号館の屋上にはローズマリー、ブドウの木、そしてホップが加わり、緑豊かな空間となっています。また、屋上で採れたものと地元の食材を組み合わせて“文京区の特産品”を作れないか?というアイデアも出ているそう。
2026年の7月には東京オリジナルのイチゴ品種「東京おひさまベリー」の植え付けや、地元・文京区の養蜂家との相互視察も実現するなど、さらなる展開が進んでいます。

野村ゼミの取り組みは屋上の緑化にも貢献
「都市のあり方を考え、それを踏まえたビジネスの可能性を探る」という学習目標のもと、ブランド開発から商品化・販路開拓まで一体的に取り組んでいる野村ゼミの学生たち。実践的なPBLは、社会人になってからも間違いなく役立つことでしょう。
なお、本プロジェクトは、大学が農業・飲食業界の連携ハブとなり、食と農を軸としたコミュニティ形成を通じて文京区の地域振興につなげることも目指しています。都市型ワイナリーの取り組みでは、都市の屋上や遊休空間を活用したブドウ栽培の普及と、それを核とした地域の食文化・コミュニティの醸成を通じて、地球とより調和した新しい都市のかたちを提案。将来的に文京区を「食・農・地方とつながる都市」として発展させる「文京区“葡”京区化計画」の構想も持っています。